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最高裁判所第一小法廷 昭和62年(あ)548号 決定

本籍

横浜市旭区二俣川二丁目一六番地

住居

大阪市旭区中宮四丁目一番九号

会社員

海老原洪植

昭和二六年二月二四日生

本籍

大阪市都島区都島本通二丁目一番地

住居

同旭区赤川二丁目一四番二七号

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森岡洋

昭和一六年一二月二〇日生

右の者らに対する各相続税法違反被告事件について、昭和六二年三月一六日東京高等裁判所が言い渡した判決に対し、各被告人から上告の申立があったので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人高橋峯生の上告趣意は、憲法八四条違反をいう点を含め、実質は事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 四ツ谷巖 裁判官 角田禮次郎 裁判官 髙島益郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 佐藤哲郎)

○上告趣意書

昭和六二年特(あ)第五四八号

被告人 森岡洋

同 海老原洪植

右両名に対する相続税法違反被告事件について、弁護人の上告趣意は、左記のとおりである。

第一、原判決は、被告人両名に対し、それぞれ実刑を言渡しているが刑の執行猶予を付さなかった点において単に量刑不当にとどまらず、公平・公正を理念とする租税法律主義に反し、憲法第八四条に違反するものである。

その具体的理由は、昭和六二年二月二三日付原審宛弁論要旨第一において記載主張のとおりである。

第二、原審における右量刑は、甚しく不当であって、これを破棄しなければ著しく正義に判示すると云うべきであるから刑訴法第四一一条第二号によって破棄されるべきである。

第三、被告人両名の本件犯行における地位、役割について原審は、第一審の判断を結果として認容しているが、控訴趣意書第二において既に主張のとおり、本件における両被告人の存在、即ちその関与程度は、本件脱税工作の依頼者たる青山らと、その請負者たる岸らの、いわばジョイント・パイプ役であり、これに尽きるのである。

右事実に関する原審の判断は、明らかに判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があるというべきであり、刑訴法第四一一条第三号によりとうてい破棄を免れられないものである。

昭和六二年六月二五日

弁護人弁護士 高橋峯生

最高裁判所第一小法廷 殿

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